昨今はネットの発達によって、自宅に居ながらにして、
いろんな情報を得る事が出来るようになりました。
その中でも、顕著なものは「書評」ではないかと思います。
いろんな書籍のいろんな情報が、発売後まもなく見る事が
できます。しかし、アマゾンなどで一般の人の書評を見て
ちょっと気になるのが、
「この情報は知っているから、書籍の価値はない」
というような論評・主張です。いまいちしっくりこないので、
いろいろ考えてみました。そもそも知っている情報、
知らない情報はすごく個人個人に関わる事なので、
同じ事柄でも、知っている人と知らない人がいるわけです。
そういった全ての人の状況を網羅するような書物など、
作る事は不可能かと思います。だいたい知らない情報が
書いてあるから良書で、知っている情報が書いてあるから、
悪書だと言えるでしょうか?。例えば、小学生の教科書の
内容は「くだらない悪書」といえるでしょうか?
では良い書籍とはなんできまるのでしょうか?。
私は、「テーマについての原理原則がきちんと表現されている」
という事だと思います。
まず、書籍というのは何らかしらのテーマについて書かれている
かと思います。本当の良書というのはそのテーマについて、
手法ややり方ではなく、明確な原理原則がきちんと表現されている
という事に尽きると思います。
手法ややり方がメインの書籍がなぜ良くないのかというと、
手法ややり方は、状況や時代に依存するので、必ずしも
上手くいくとは限らないからです。
これに対して、明確な原理原則がきちんと表現されていれば、
状況や時代、また個人に依存せずそれらに合わせた方法を
自ら選べるようになります。その上で手法ややり方、
個別の出来事等が書いてあればなお良いと思います。
しかし、原理原則というのは一般に理解されずらく、その習得に
深い理解と洞察が必要なので、簡単に習得する事は難しいと
思います。
それゆえに例え自分が知っている事であっても、原理原則が
きちんと表現されている書籍は読むに値します。
「同じ原理原則」を「違ったアプローチ・表現」で書かれた
「異なる書籍」は、理解を深めるためにも両方読むべきで、
どちらが劣っているとか読まなくて良いという話では
ないと思います。
さて随分と前置きが長くなりましたが、ここでタイトルの
「ドラッカー先生の授業 私を育てた知識創造の実験室」
という本を紹介したいと思います。
これは最近私が読んだ本の中でかなり秀逸の出来だと思います。
この本は、私がよく読むドラッカーの主義主張がとてもよく
まとめられています。 また、この本の著者はドラッカーの
教え子で、自らが受けた授業の中からの エピソードを
交えながら、ドラッカーの原理原則を明快に語っていきます。
私が面白いと思った事柄をいくつかご紹介したいと思います。
・二つ以上の専門性を身につけよ。そのうち一つは、
本業とはまったく関係ない分野の専門性を身につけるべき。
これは大変面白い教えだと思いました。専門性を身につける事は、
大変良い事ですが、まず一つの分野に偏らない事と、本業以外の
専門性を身につける事によって、自分とは直接関わりのない
ジャンルへの対応力が身に付くという事でした。
よく戦略的発想を身につけろだとか、問題解決力をうんぬんとか
良く聞かれる事ですが、実際に異なるジャンルに挑んだ方が、
よっぽどそういう力を身につけられるという事だと思います。
・知識不足は活かし方を知っていれば決して悪い事ではない
・適切な問いかけをする事が大事
知識量を問うのではなく、問題解決には発想が大事という事の
ようです。 専門性を追い求めながらも、それにおぼれては
いけないですね。
この本には、もっともっといろいろためになる事が書いて
あります。 本の値段もちょっと高めですが、是非一読
する事をお勧めします。
ドラッカーを読んだことがない人は特にお勧めしたいです。